弊社の所属している業界団体「職人革命会」が、名称を「新エネルギー革命会」に変更して初めての会員勉強会が、4/4、名古屋の地において開催されました!
記念すべき会、最初のご講演は、著書「送電線は行列のできるガラガラのそば屋さん?」で、いま注目を集めている安田陽氏(京大大学院・特任教授)。
送電線空き容量についての技術的なお話かと思いきや、もっと深い、経済学的な意味での再生可能エネルギーの特性など、実に分かりやすくご解説頂きました。
再エネの特性とは、ズバリ
・かけたコスト(費用)よりも、市民にもたらされるリターン(便益=ベネフィット)が大きい
・「外部コスト」が最も低い電源である
という2点。
「外部コスト」とは、直接そのエネルギーの製造にかかっているわけではないけれども、あとあと社会的にかかってくる隠れたコスト(Hidden Cost)のこと。
例えば、化石燃料であればCO2増加→温暖化によってもたらされるコスト、原発であれば廃炉・廃棄物処理費用や事故時にもたらされる重大リスクをも想定したコストが、それにあたります。
ところが日本では、この「外部コスト」に関する研究自体が極めて少ないそうです。
「『外部コスト』が低いという経済的な合理性の面で、世界では一気に再エネに舵が切られている。投資家・銀行など、あらゆる分野で… ところが日本ではどうか?」
安田教授は問いかけます。
「再エネとは、決して一過性のエモーショナルなものではないのです」との言葉が印象的でした。
安田教授は、「そもそもゼロリスクを想定すること自体が、科学的な発想ではない」と断じながら、様々なリスクを確率論として議論する文化が根付いていない学会の現状、日本が再エネで遅れをとってしまっている文化的な背景にまで、鋭く切り込んでおられました。
全体として、「電力工学」を専門とされてきた教授らしい、科学的・論理的なご講演で、物の考え方ということも含めて大変勉強になりました。
しっかりと数字を積み上げ合理的な議論をすること、そして情報をオープンにしたフェアな市場を作り出すことが重要だと思わされました。
また、3.11に直面して、エンジニアの道を考え直し「文転」されたという教授の熱い思い(「最適解」を見つけるためには「技術」だけではなく総合的に考えなければならない、という思い)までもが伝わってくる素晴らしい講演でした!
あらためて私たち太陽光業界自身が、太陽光の「外部コスト」をさらに削減し、ベネフィットを増大させていくために、たゆまぬ努力を続ける必要があると肝に銘じさせられた次第です。
「外部コスト」についてなど、次の記事により詳しく安田教授の見解が掲載されております。
ぜひご一読を!
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