ドイツ・ソーラーワールド社 工場視察レポート その2

ドイツ2日目。ミュンヘン中央駅から出発。

なんとドイツの駅には「改札」がないことを知り、けっこうなカルチャーショックが走ります。

今回は労働組合ストライキの影響で急きょ、ドイツ国内航空便が欠航。
そのため、ニュルンベルクで乗り継ぎ、計5時間 鉄道の旅。

長旅となりましたが、美しい田園風景を堪能することができかえってラッキーでした。
一路、フライべルクへ!  

ついにやってまいりました! 
太陽光の本場ドイツで「業界No1」の上場メーカー・ソーラーワールド社、フライべルク工場です。

ハナミズキのような淡い色の花が出迎えてくれました。

ソーラーワールド社は、太陽電池の原料であるシリコンから太陽電池パネルの完成品まで「一貫製造」している、世界的にも数少ないメーカー。

こちらの工場では、50年も前からシリコンウェハー(シリコンの塊りを薄くスライスした板状のもの)の製造を行っているそうです。
(シリコンウェハーの工場としては「世界最古」の工場とのこと。)

 *「ウェハー」の呼称は、洋菓子の「ウェハース」に由来。(Wikipediaより)

太陽光発電好きならば、ワクワクしてしまうようなレアな展示が並びます。
上の写真は、シリコンのインゴット(塊り)から、ウェハーを切り出しているの図。

広報・マーケティングを担当しているデビットさんからレクチャー頂いたのち、いよいよ工場内部へ!

(工場内は撮影禁止につき、ここからしばらくは文字のみのご案内となります。
 いくぶんマニアックな内容が続きますので、どうぞご了承ください。)

【1】シリコンウェハーの製造工場
【2】太陽電池(セル)製造工場
【3】モジュール(パネル)組み立て工場

という三つの工場を見学。


【1】シリコンウェハーの製造工場

まずは、300mほども続く真っ直ぐな廊下に驚かされます。
そして、生産ラインを見下ろすと … 

驚くほど、人がいません!

広くてきれいな工場の内部には、最新鋭の機械やロボットが多数。
シリコンインゴットを薄くスライスしてウェハーにする専用の機械(ワイヤーソー)が84台も並び、24時間体制で稼働。

1日に150万枚以上ものウェハー製造能力があるそうです。


【2】太陽電池セル製造工場

続いて、薄くてもろいウェハーを全自動のラインで太陽電池セルに仕上げてゆく工場です。

こちらは、厳重に管理されたクリーンルーム。
少しの埃も紛れ込まないよう、全身を専用の服で重装備して乗り込みます。

間近で目撃する生産ラインはやはり迫力満点。

シリコンウェハーは、そのままでは太陽光に当てても発電可能な素材ではないため、「N型層」をつくるために気化したリンの中で800度で焼き付ける工程があったり、反射防止のために「ARコート」加工により青色にする工程などがあったりします。
 * ARコートとは、Anti-Reflective coating=反射防止コーティング

それら全てが「フルオートメーション」で進んでいく製造ラインは、まさに圧巻!
参加者一同から、思わず感嘆の溜め息がもれます。

このクリーンルームで、1日あたり約30万枚のセルが生産されているそうです。


【3】モジュール組み立て工場

こちらの工場では、いよいよ太陽電池セルが私たちの見慣れたモジュール(パネル)へと仕上げられていきます。

およそ2時間でパネル組み立てが完了する製造ライン。
1日に2メガワット(=パネル約8,000枚)の生産能力があるそうです。

大きな特徴としては、パネル1枚あたり200か所以上もあるインターコネクタのハンダ付けを全て、ロボットによるフルオートメーションで行っている点です。

力が強すぎるとクラック(ひび割れ)が入ってしまい、弱すぎるとはがれてしまう… 手作業に頼るとどうしてもバラツキが出てしまう工程は、のちのち発電不良の要因になりやすいウィークポイントです。

ここを完全に自動化することで、製品の均質化・高水準化を徹底させているのです。

ガラスの自動洗浄から、バーコード刻印・バックシート裁断・フレームへのシーリング材注入などなど…
実に多種多様な機械・ロボットが様々な役割を演じながら、目まぐるしくラインが進んでいきます。

複雑な工程が、やがて一つのパネル完成品へと収斂していくさまは、あたかも完成度の高いオーケストラの生演奏のように、スリリングでドラマチックです!

そして、そんな慌ただしい工程のなかにも、しっかりとEL検査(マイクロクラックのチェック)が二度にわたって行われます。
 * ELとは、エレクトロルミネセンス=有機発光体

機械による自動判定と、人間の目によるダブルチェックで基準外のものは除去。
(もちろん、基準外のものもリサイクルに回され資源として活用されます。)

さらに、セル・ガラス・バックシートなどすべてがシリアル管理されており、工程ごとに作業時間までもが記録され、できあがった製品から製造過程をさかのぼっていつ作られたものなのかが明確にわかるという、完璧なトレーサビリティ。

業界内で評判の高かったフルオートメーションの精密さは想像以上で、その技術力の高さと品質にかけた情熱に、心から圧倒され脱帽させられました!

「これまでにフルオートメーションの工場をいくつも見てきたけど…」

数多くのパネル工場を視察されてきたというある経営者の方が、帰り際にふと漏らした言葉が印象的でした。

「他の工場ではこんなに長い時間、見学させてもらえなかった。その時は、あれがフルオートメーションと聞いていたが、そうではなかったことが今日わかった。

 ソーラーワールドこそが、本物のフルオートメーションだ。」


以上、画像をお見せできないのが本当に残念です。

工場のそばにある8メガワットもの「ソーラーパーク」。

見渡す限りパネルが果てしなく続きます。
電力会社側とは連系せずに、すべて自社工場稼働の電力として使われているそうです。

道路側に並ぶのは、「追尾式」の太陽光パネル。
太陽の動きに合わせてパネルの角度を変え、発電量の最大化を追求します。


(その3へつづく)

株式会社 日本グリーンエナジー

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